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欧米諸国が注目する『東アジア地域包括的経済連携(RCEP)』と『アジア通貨単位(ACUあるいはAMU)』

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画像は「METI/経済産業省ホームページ」から引用。

 

はじめに

 

日中両政府は、3月5日に4月上旬で調整してきた中国の習近平国家主席国賓訪日を延期すると発表し、訪日の時期を今秋以降で再調整する方針とした。

 

このほど中国は、日本、韓国に対して「渡航制限の解除」「自由貿易区域」「アジア通貨単位」を示し、三ヵ国で協力体制を築くことを提案したとの噂がある。(日中韓FTA交渉と思われる)

また、習近平国家主席は、日本訪問後に韓国訪問を希望しているらしい。

 

すでに中国と韓国は、2015年6月1日に自由貿易協定(中韓FTA)に正式署名している。

また、2019年11月27日から29日に、韓国・ソウルにおいて、第16回日中韓自由貿易協定(日中韓FTA)交渉会合が開催された。これは、東アジア地域包括的経済連携(RCEP)と同時進行で進められている。

 

東アジア地域包括的経済連携(RCEP)

 

東アジア地域包括的経済連携(RCEP:アールセップ)は、東南アジア諸国連合加盟(ASEAN)10ヶ国に、日本、中国、韓国、インド、オーストラリア、ニュージーランドの6ヶ国を含めた計16ヶ国でFTAを進める広域的な包括的経済連携構想である。

RCEPが実現すれば、人口約34億人(世界の約半分)、GDP約20兆ドル(世界全体の約3割)、貿易総額10兆ドル(世界全体の約3割)を占める広域経済圏が出現することになる。

 

RCEP交渉経緯

 

RCEPの交渉開始時に、中国が提唱したASEAN+日中韓に対して、日本はインド、オーストラリア、ニュージーランドを加えた16か国による交渉を提唱したが、TPP並みの高い自由化を求めていたため、中国とインドが消極的であった。

しかし、米中貿易摩擦の激化によって中国はRCEP交渉に積極的になったが、インドは消極的なままであった。

 

第3回RCEP首脳会議が2019年11月4日にバンコクにおいて開催され、共同声明で「全20章に関する条文ベースの交渉及び15か国の基本的に全ての市場アクセス上の課題への取組みを終了したことに留意し、2020年における署名のために15か国による法的精査を開始するよう指示した。」と「インドには,未解決のまま残されている重要な課題がある。全 てのRCEP参加国は、これらの未解決の課題の解決のために、 相互に満足すべき形で、共に作業していく。インドの最終的な 決断は、これらの未解決の課題の満足すべき解決にかかって いる。」と発表された。

RCEP第29回交渉会合が4月20日、22日及び24日にテレビ会議によって開催され、4月30日に会合共同声明が発出された。

声明は「2020年におけるRCEP協定の署名へのコミットメントを再確認」「感染症によりもたらされた危機からの迅速で強靭な経済回復を可能とするため、協力の強化及び世界的な取組の加速化で一致」「インドをRCEPの貴重な当初からの参加国であることを認識し、インドがRCEP交渉に復帰することを歓迎する」などと述べている。

 

出典:

外務省ホームページ

第3回RCEP首脳会議の開催|外務省

https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/000231134.pdf

 

経済産業省ウェブサイト

https://www.meti.go.jp/press/2020/04/20200430007/20200430007.html

 

 

秘密裏交渉

 

RCEPはTPPと同様に交渉過程や内容が非公開であり、リークに頼る以外は市民がRCEPについて知ることができない。

 

 

アジア通貨単位

 

アジア通貨単位とは、

アジア開発銀行 (ADB)で開発されていたものを「ACU」といい、

経済産業研究所(RIETI)が提案したものを「AMU」という。

 

アジア通貨単位は、2007年3月にADBより公表が行われる予定であったが、オバマ元大統領の介入により発表は見送られたと噂されている。

 

 

アジア通貨単位 - Wikipedia

アジア通貨単位とは、アジア通貨(ASEAN10か国+日本、中国、韓国)の加重平均値を示す尺度。

 

アジア開発銀行 (ADB)で開発されていたものは、英語で「Asian Currency Unit」と書くことから、略してACU(アキュ)とも呼ばれる。また、経済産業研究所(RIETI)が提案したAsian Monetary Unit(AMU)と呼ばれるものも存在する。

 

ACUは各国の経済(GDP、貿易量など)の比重に基づき各々の通貨が一定の比率で合成された、計算上の共通通貨。1997年のアジア通貨危機が発端で、2002年のアジア欧州会合において日本の国際通貨研究所により提唱された。2006年5月のASEAN+3財相会議でACUの研究が決定され、2007年3月からADBより公表が行われる予定であったが、発表は見送られた。

 

経済産業研究所(RIETI)では、AMUと呼ばれるアジア通貨単位を考案し、公表している。これはASEAN+3で行われるサーベイランス(各国の経済政策運営状況の健全性を相互に調査すること)における新たな基準(乖離指標)として提案されたものである。しかし、AMUはもともと欧州通貨単位(ECU)を参考にしたものであり、将来的にはECUのような役割を持つことも期待されている。

 

現在アジアでは、ドル安に従い通貨価値の上昇する円、バーツと、ドルペッグのため価値の下落する人民元などが並存しており、これにより域内での通貨摩擦が生じている。

 

各国通貨と、バスケット方式により算出されたACUあるいはAMUとの乖離状況を指標として示すことにより利上げ・利下げを行い、通貨の均衡を維持するというものである。参加国が相互に監視をする事で、特定国の通貨切下げ競争を防ぐ事ができ、域内貿易の為替リスクを軽減させ、レートを安定させられる。

 

アジア通貨単位(ACUあるいはAMU)が設定されれば、アジア通貨建て債券の発行につながり、アジア債券市場とも相まって域内の金融協力が加速し、アジアにおいても共通通貨導入の議論が加速しそうだ。既に中国は人民銀行や中国世界経済研究所など各方面の幹部が共通通貨の検討を持ちかけるなど、積極的な姿勢を見せている。

 

 

 

製造業のサプライチェーンリスク回避

 

一方、今回の感染症騒動で、製造業は自社のサプライチェーンが途絶し、顧客に製品やサービスが供給できなくなるリスクに直面したことから、日本政府は海外生産拠点の分散・再配置を支援する方針を発表している。

製造業にはサプライチェーンのリスク対応力強化が迫られ、当面は、東アジアに集中した生産拠点や調達先の分散や日本への生産回帰が促進されるのではないかといわれている。

 

しかし、専門家たちは「脱中国」と簡単に述べるが、巨大になりすぎた中国から離脱することは、そんなに容易なことではない。その理由については、機会があれば別記事で示すこととする。いずれにしても経営者たちが青ざめるような特別な理由が必要となる。

 

 

さいごに

 

このようにRCEPとアジア通貨単位は、欧米諸国にとって脅威となる可能性があり、注視されている。一見、感染症バトルのように見える各国首脳の発言も、実は含みを持たせる場合がある。

 

日本政府には、かなり難しい舵取りが迫られているが、どのような反応を示すのであろうか。

 

 

トランプ大統領は5月14日に下のような意味深な発言をしているが、何か関連があるのであろうか?

含みを持たせた発言であるならば、5月11日に「長征5B」のエンジンがニューヨーク上空をかすめて大西洋に落下した話にしては、反応が遅すぎるわけで・・・

 

jp.reuters.com