九死に一生『心臓が飛び出るほどの轟音と共に、この世のものとは思えないオレンジの光に包まれる』
【プロフィール2】
私は昔、車で帰省中にバケツをひっくり返したような土砂降りの雨に見舞われました。ワイパーを最強にしても視界が悪いため、すべての車はノロノロ運転となりました。
車中で何十回も聴いた音楽に飽きはじめた私は、おもむろにラジオのスイッチを押しました。当時の私の車はラジオに切り替えると、運転席から見て左後方から電動アンテナがニョキニョキと伸びるタイプでした。しばらくラジオを聴きながら運転していましたが、雨は一向に降り止みませんでした。
そんな悠々とした時間は、突如「バーン!!」という爆発音?に打ち消されました。
心臓が飛び出るような轟音と共に全ての視界が白い光に包まれました。白い光は、うっすらとオレンジがかっており、この世のものとは思えないほど美しいもので、心を奪われました。
そんな中、車内に充満してきたコゲた臭いでハッと我に返った私は、すぐに何が起きたのかを理解しました。
そういえばラジオの音が聴こえない・・・
これは、もしかして「車にカミナリが落ちて、電気系統がいかれた?」
通常ならパニックになる状況ですが、なぜか私はありえないくらい冷静でした。すぐにアクセルとブレーキが反応することを確認した後、ウインカーを挙げてお店の駐車場に入りました。このとき私の後ろを走っていた車が引き返してきて、私を遠くから見守っていました。きっと私が、コントのように口から煙を出しながらコゲコゲになって車から出てくることをイメージしたはずです。
・・・ご期待に沿えなくて、すみません。
電気系統に異常をきたしている場合、エンジンを止めると二度とかからなくことを懸念して、寝泊まりのできる場所でエンジンを止めようと考え、距離的に見て実家を目指すことにしました。そのためには、車外に出て車の外観上の問題を把握しておく必要があると判断しましたが、落雷を受けた直後に雨の中を傘をさして出歩くことには躊躇しました。ですが、ラチがあかないので、思い切って外に出てみることにしました。
恐る恐る外観をざっと見たところ、アンテナが溶けているだけで目立った異常は認められなかったので、急いで車中へ戻り実家へ向けて出発しました。しかし、実家の駐車場でバックしたとき、ある異変に気付きました。
「車がまっすぐ走らない!」
雨も止んでいたので、じっくり車の外観を確認してみると、左前輪がパンクしていました。(運転中に気づけよ!)
カミナリは左後方のアンテナに落ち、左前輪から地面に抜けたことが理解できました。
車両保険に加入していた私は、早速、落雷が自然災害に該当するか確認しましたが、最初
「そんなの聞いたことがない。いい大人がうそをつくんじゃない」
と一蹴されました。
諦めきれない私は、車をディーラーへ修理に出したので確認してほしいと依頼すると、保険担当の方は、わざわざディーラーへ出向いて確認してくれました。結果、保険担当の方が上司に相談してくれて前例がないにも関わらず、支払いは認められました。
結論:車内は、カミナリが落ちても安全です。(経験者談)
ただし、私には、今でもどうしても気がかりなことが一つあります。
それは、私の後ろを走っていた車は、いったいどのような光景を目にしたのでしょうか?
一度詳しく教えて頂きたいものです。